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No.3
地獄の黙示録セット(Apocalypse Now・Apocalypse Now REDUX) 1979・2000/米
製作 フランシス・F・コッポラ
監督 フランシス・F・コッポラ
脚本 フランシス・F・コッポラ / ジョン・ミリアス
原作 ジョゼフ・コンラッド
撮影 ビットリオ・ストラーロ
美術 アンジェロ・P・グラハム
音楽 カーマイン・コッポラ
出演 マーロン・ブランド / ロバート・デュバル / マーティン・シーン / フレデリック・フォレスト / デニス・ホッパー / ハリソン・フォード

ベトナム戦争を描いた作品
1979年に公開になった映画で日本では、1980年に公開になったと思います。当時中学生の私は、世間が騒いでいたのを覚えています。確かこの年は黒澤明監督の「影武者」、熊井啓監督の「天平の甍」が公開した年でもありました。テアトル銀座で学校主催の映画会で、「天平の甍」見たのを覚えています。そういえば、黒澤の脚本を熊井啓が監督した映画「海はみていた」が、上映されていますね。その時上の、テアトル東京から爆音が響いていた気がします。私も実際にテアトル東京で見たのを記憶しているのですが、内容はさっぱりわかりませんでした・・・ただ、ジャングルにナパム弾を打ち込むシーンとワーグナーのワルキューレの騎行は、鮮烈に記憶に残っています。その「地獄の黙示録」が去年(2001年)特別完全版となって公開されました。そして、2002年7月25日にオリジナル版と特別完全版がセットになったDVDが発売されました。
1作品ごとラップされたものをさらに紙の箱に入れてビニールでラップされている
DVDは、当然2枚です。しかし、ジブリなどのDVDでお馴染みの1パッケージに2枚が入っているというのではなく、1作品が独立した形で2つのパッケージが一つになっているという感じです。セットになったDVDの価格は8,500円です。作品を別々に買うと、特別完全版が4,700円、オリジナル版が3,800円なので、セットの値段と変わりません。バラで買ってもいいのですが、このセットには、オールカラーの32ページの解説書が付属しています。この解説書は、特別完全版などが出来た経緯などがコッポラやスタッフとのインタビューなどで紹介されています。オリジナル版は153分、特別完全版は202分です。
映画として
ベトナム戦争を描いた映画といえば、「プラトーン」や「フル・メタル・ジャケット」があります。歴史的には、この2作品の方が「地獄の黙示録」より遅く制作されました。「地獄の黙示録」と「プラトーン」や「フル・メタル・ジャケット」には、テーマの上で大きな隔たりがあるように感じます。「プラトーン」や「フル・メタル・ジャケット」は、あくまでもアメリカから見たベトナム戦争というものを描いたもので、そこには、ベトナムという東洋の国と戦ったというものを排除しています。しかし、この「地獄の黙示録」は、カーツという登場人物を通して、東洋思想みたいなことを語ろうとしています。この部分がどうも同じアジアに住む日本人には、理解が出来ないように思います。西洋人が東洋人を描く時にいつも感じることです。「地獄の黙示録」でも、米軍の兵士が、「さよなら、万歳」というセリフを言うのですが、ベトナムと日本を同じものとしてとらえている気がします。西洋人にとっては、アジアの民族はすべて同じととらえている感じがします。その理解不足が、この映画の中途半端なエンディングにつながっているのではないでしょうか?しかし、これをアクション映画として見れば、大変楽しめる映画だと思います。ま、戦争映画なので、シュワちゃんなどのアクション映画と同じようには見られませんが・・・しかし、特別完全版では、フランス人の入植者のシーンを復活させることで、西洋人から見たアメリカというのを描くことで、世界的にもアメリカが孤立していたことを描けていると思います。映画の完成度としては、特別完全版の方が高いと思います。
評価
このセットは、初回限定生産です。ま、すぐ売り切れることはないとは思いますが、もし、オリジナル版と特別完全版の購入を考えている人は、このセットをお進めします。お勧め度は、Bランクで、買っておいてもいいかも?という感じです。解説書は必見ですが・・・